ミャンマークーデターと中国宇宙覇権

投稿者: | 2021年4月19日

2月にミャンマーで軍事クーデターが起こり、泥沼化し、内戦状態になろうとしている。これによりミャンマー国内は疲弊し、最終的には中国が侵入して統治するという予測がある。国連の安全保障理事会では中国とロシアが制裁に後ろ向きであるため、このクーデターのバックには中国がいる可能性が高い。更に、宇宙開発の面でも、ミャンマーの領土を手に入れることで、中国に大きなメリットがある。それは、太陽同期軌道(SSO)ミッションに適した射場の確保である。

下の地図を見て頂きたい。黄色い線は、長征5号および長征7号ロケットが発射されている、文昌衛星発射場からSSOへ打上げる際の落下点軌跡である。以前の記事「長征5Bの1段ロケットの無制御落下について」で述べた通り、この射場からのSSOミッションは、ベトナムとインドネシアにロケットが落下するリスクを抱えており、将来的に外交問題になれば、中国が進める宇宙覇権戦略の妨げとなる可能性がある。

SSOミッションの落下点軌跡(黄色:文昌発射場から 赤色:ミャンマーから)

そこでミャンマーに発射場を建設できたとしてみよう。すると赤い線のように、どこの国にも文句を言われない自由な射場を手に入れることが出来る。宇宙覇権を目指す中国の狙いはここにあるのではないか。もちろん、インド洋と直接面した港の入手というのも大きなメリットである。沖縄、台湾、フィリピン、シンガポールという、地理的な中国包囲網に何とか穴を空けようとしている。